営業所ごとの専任の技術者と工事現場に配置する技術者との関係


営業所ごとに専任の技術者がいること


建設業許可の要件の一つに、営業所ごとに「専任の技術者がいること」という要件があります。

 

「専任の技術者」とは、営業所ごとに、その営業所に常勤して専ら(もっぱら)職務に従事する者であり、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての「国家資格や実務の経験を有する」技術者のことをいいます。

 

なお、営業所ごとの専任の技術者は、原則として所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること、が必要です。

※出向であっても専任性が認められる場合は可能となる場合があります。なお、派遣社員で勤務している技術者は不可ということになります。

 

一般建設業と特定建設業では、営業所ごとの専任の技術者になれる「国家資格や実務の経験」が異なります。


営業所ごとの専任の技術者と工事現場に配置する技術者


営業所ごとの専任の技術者は、その営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められています。

 

さらに、実際の工事を施工するためには、「工事現場に配置する技術者」が必要となります。

 

工事現場に配置する技術者のことを、下請けに対する下請負金額などにより区分し、主任技術者とか監理技術者と呼んでいます。

 

主任技術者、監理技術者の区分の基準は次のとおりです。

 

建築工事業(建築一式式工事)で元請工事における

・下請金額合計が消費税込み6000万円以上のとき:”監理技術者”(原則1級国家資格者)

・下請金額合計が消費税込み6000万円未満のとき:”主任技術者”(1級・2級国家資格者、指定学科卒業+3年or5年以上の実務経験者、10年以上の実務経験者)

 

建築工事業(建築一式工事)以外の工事で元請工事における

・下請金額合計が消費税込み4000万円以上のとき:”監理技術者”(原則1級国家資格者)

・下請金額合計が消費税込み4000万円未満のとき:”主任技術者”(1級・2級国家資格者、指定学科卒業+3年or5年以上の実務経験者、10年以上の実務経験者)

 

なお、工事現場に配置する技術者は、所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること、が必要です。

※在籍出向や派遣社員で勤務している技術者は不可ということになります。


営業所ごとの専任の技術者でも”専任を要しない”工事現場に配置する技術者となれる特例


専任の技術者は、その営業所に常勤して専らその職務に従事することが求められており、「工事現場に配置する技術者となることができない」、というのが原則です。

 

ただし、特例として、

 

①その工事の「専任を要しない工事現場」に配置する技術者(主任技術者・監理技術者)であること。

 

※「専任を要しない工事現場」とは、

・公共性のある建設工事で請負金額が、

→建築工事業(建築一式工事)で消費税込み7000万円未満の工事、

→建築工事業(建築一式工事)以外の工事で消費税込み3500万円未満の工事

・民間の自己居住用戸建て住宅の建設工事

のことをいいます。

 

②専任の技術者が所属する営業所において請負契約が締結された建設工事であること。

 

③工事現場と営業所が近接し、その営業所との間で常時連絡を取りうる体制にあること。

 

④所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること。

※在籍出向や派遣社員で勤務している技術者は不可ということになります。

 

これらの要件をすべて満たす場合には、営業所の専任の技術者は、その工事の「専任を要しない工事現場に配置する技術者」となることができます。


営業所ごとの専任の技術者は”専任を要する”工事現場に配置する技術者となることができない場合


その工事の「専任を要する」工事現場に配置する技術者(主任技術者・監理技術者)とは、

 

民間の自己居住用戸建て住宅の建設工事以外の

公共性のある建設工事で請負金額が、

→建築工事業(建築一式工事)で消費税込み7000万円以上の工事、

→建築工事業(建築一式工事)以外の工事で消費税込み3500万円以上の工事

に配置される技術者をいいます。

 

この工事の「専任を要する」工事現場に配置する技術者(主任技術者・監理技術者)は特例の対象とはなりませんので、営業所ごとの専任の技術者は工事現場に配置する技術者(主任技術者・監理技術者)になることはできません。


“専任を要する工事”を施工するためには、複数の技術者の確保が必要となります


複数の「資格・実務経験等を有する技術者」がいないことには、営業所ごとの専任の技術者のほかに、工事現場に配置する技術者(主任技術者・監理技術者)の確保ができないことになります。

 

許可には直接関係しませんが、工事施工上、建設業法違反にもなります。この点はくれぐれも注意していただきたい重要事項です。